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シンガー・ボーカリストの声帯結節と声帯ポリープ、手術とその後の記録です

※最後に術後2年、術後8年(2019.2月)の追記があります。

きのう術後1ヶ月の検診を受け、合格☆
薬も終わり、これで定期的に病院に通うことはもうありません。
先生によると、再発を防止するには、使いすぎたり疲れているなって時は
調子が悪くなくても診せるようにとのこと。
ちょっとぐらい悪くても、自力でカバーしてしまうからだって。
うわ、ねじふせた覚えある。。。
来週からは歌えるので、それがもう何よりも楽しみです。

そんな訳で、これからはもう治療もないし、自分に全てまかされる怖さはあるけど
大切にがんばります。
以前も言ってたけど、自分が声帯結節とポリープのアクシデントに見舞われて
手術やその後のことを書かれているシンガーのブログにはすごく救われたので
ちょっとでも誰かのお役に立てたらうれしいな、と記録を残しておきます。
ちょっと恥ずかしいけど。。。



2003.1月/結婚して神戸から神奈川へ。花粉症、鼻炎の悪化、初めて喘息と診断される。(のちにわかるのは、鼻が悪いと響かず声帯に思わぬ負担をかける。そして喘息の咳は直接声帯に悪影響)

2003秋/咳が強く出た後、声の調子が極端に悪くなり、初めて声帯を診てもらえる病院へ。声帯結節と診断される。
声帯結節はペンだこのようなもの。その後は使いすぎて固くならないよう気にかけながら(時々病院に行きながら)歌う。
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2009秋/仕事が増え、少し無理をしながら続ける。普通は歌い始めてどんどん調子があがるのに、どんどん下がることに不安を覚えはじめる。

2010.1月/絶対おかしいぞ!と思い病院へ。結節の悪化。もともとあった片側の結節のみならず、反対側も固くなり始めている。薬と吸入で治療するも、仕事が減らせずみるみる悪化。調子が悪いと響かないでしんどいので、響かせようと無理矢理出して更に悪化!その間も通院はしているが、おいつかない。。。泣きたい毎日。

2010.3月/思い当たるのはある仕事で、声質&音域に合わない曲を多数熱唱。もうどうしようもなくなり病院にかけこむ。ついにもともとあった結節の反対側がクラッシュ。血のかたまり(ポリープ)になり、先生に怒られる。。。「どんな使い方したんですかっ!!」。

2010.4月/手術か、長期休業かも視野に入れて2週間薬で様子をみる。仕事は続けているのであまり改善しない。。ますます泣きたい毎日。
そんな中、1本いただいていたブッキングライブの日は思い切って歌えたのが不思議。
〜ライブ活動はお休みする〜

2010.4月末/ついに手術決定。大きな病院を紹介される。仕事調整(感謝感謝!)
この時点でかなりひどい。特に裏声とピアニッシモが無理。こどもの教室でめだかの学校、そっとのぞいてみてごらん〜の歌詞をピアノで歌えない。そーっと!とフォルテで歌わないと出ない。
声質的には、ハスキーでいいねと言われたり、自分でもいいと思える部分もあるが、とにかくラシドレミファぐらいしか出ないし、一番大変だったのは日によって調子が違うので、コントロールのしようがなかったこと。正直手術が決まりホッとしたのでした。

2010.5月8日/入院。術前検査。先生に言われるがままに、高音、低音、ロングトーンをレコーディングする検査。ロングトーンがまずいぐらい出ない。声帯がふるえず伸びない。先生もこれは手術するしか改善のしようがないね〜と、手術が間違いでなかったことを強調。

2010.5月10日/全身麻酔による手術。声が出なくなったらどうしようとか、麻酔から覚めなくなったらどうしようとか、不安はあれど、とにかく治りたい一心、歌いたい一心。手術としては簡単なものらしい。のどに管を入れるらしく、そうそう、前歯が傷つくかもとマウスピースをつくりました。(前日)

術後〜1週間目〜
麻酔から覚めた瞬間から、沈黙療法が始まる!
一切、ひとこともしゃべってはいけない。
コミュニケーションはゼスチャー、筆談、メール(これには救われた!)のみ。
期間は1週間。
過酷な状況ではあるけど、手術の翌日にもう退院させられる。
とにかく日常生活はしないといけない、でも全くしゃべれないというこのギャップ。
薬と吸入は毎日。
ところでわたしの場合はうっかり寝言をいったり、笑ったりしてしまうことも数回。
でも頑張った方だと思う。
歌ってなければ、ここまで頑張れなかったのでは??と思ってしまう。
手術も大事だけど、この沈黙療法の1週間が非常に大事らしい。。。
全身麻酔の影響か、とにかく疲れやすい、お昼寝つきの1週間。

2週間目〜
軽い日常会話を始めてよい1週間。
声を出して感じたのは、自分が思うより声になるまでのロスがあること、それからちょっとしゃべると疲れること。
また、前週に引き続き、まだまだ疲れやすい。
ボンの送り迎えで人に会ってもあんまり元気にできない感じ。
こんなので歌えるようになるのかなあ、、、と心配になる。

3週目〜
退院後初めての病院。
鼻からのカメラでものすごくきれいになった声帯を見て感動!
しゃべると疲れることを相談すると、自分のスタイルじゃない抑えたしゃべり方は逆に疲れてしまうから、今週からはいつものスタイルでしゃべってと言われる。
鼻炎が悪いと声帯に負担がかかるので、鼻炎持ちのわたしは追加で強めの抗アレルギー剤も出る。
「今大事な時期なので、あと2週間薬がんばって」とのこと。
つかれやすさは減ったものの、まだ少し日によって調子がよかったり悪かったり。

4週目〜
急に声が安定してくる。
声質的には20代の頃に戻った感じ。
ハイが強くて、ローはカットしてしまった感じ。
昔はその声が嫌で嫌で、厚みのある声に憧れたが、今はとにかく声がちゃんと出て歌えるように近づけていることが嬉しい。

5週目〜
手術後1ヶ月の検診にて合格!
薬も定期的診察もなし。
再発防止のコツは、使いすぎたり疲れているなって時は調子が悪くなくても診せるようにとのこと。ちょっとぐらい悪くても、自力でカバーしてしまうからだそう。
あとは、喘息や鼻炎が悪くならないようにすること。
体はやっぱり鍛えた方がいいのだろうと思い、時々ジムに通っています。水泳のがいいのかな?

1ヶ月〜
恐る恐るうたってみると、ほっそーい声。ただ息漏れはまったくない。

2ヶ月〜
再出発ライブはたった2曲。身体自体に支えがなくふわ〜っとしているが、息漏れはなくって、すこーんとあたるとにかく細い声。

3ヶ月〜
バッキングコーラス。高音はもちろん出やすいが、意外なことにものすごい低音部(女性ボーカルのオクターブ下とか)が出るようになったと驚かれる。
自分で初めて気づいたのは声質的には細くて高音しか出なさそうだけど、雑音がなくなったことで低音も響いていたようです。

4ヶ月〜
復活ライブとして初めて2セット歌う。まだまだ声が細くは感じる。

5、6ヶ月〜
レコーディング。まだまだ声が細くは感じる。

7ヶ月〜
以前より神経質になっているから、お酒を飲むか飲まないかでずいぶん違って感じたので1ヶ月の禁酒してCD発売記念ライブ。
急に細さはそんなに気にならなくはなる。
が、音作りで以前よりローをあげている。

8、9、10、11ヶ月〜
風邪、鼻炎、花粉症、喘息にさえ気をつければ、調子の悪さは感じない。
以前より、顔面の共鳴を感じて歌っている。
9月からスポーツを始めたら、風邪をひかなくなっている。
やっぱりシンガーに運動は必要だなあ!

術後1年〜
あと4日で術後1年!
最近、検索して見つけてくださる結節に悩むシンガーの方からメールをいただくことが
何度かありました。
少しでも不安な気持ちを和らげてさしあげたいなあと、お返事しています。
全部わたしの場合は〜だから役に立たないこともあると思うけど、
歌えないつらさって、歌う人には苦しいぐらいわかると思うんです。
これからも、少しでもお役に立てるよう書き足していきますね。
とにかく、手術した後は、感謝しながら使う、、これにつきますね!!
2011.5

また追加していきます!

☆感想☆
へたくそやからポリープになったん違うかな?とか、
見合わない歌い方を求めてるからポリープになったんちゃうかな?とか、
わたしは結構落ちこみました。
人に言うのが恥ずかしくて隠したい、ごまかしたい気持ちもありました。
でも今となっては、なってよかったってほんと思います。
親きょうだい、ダンナちゃん、ボン、友だち、歌を楽しみにしてくれてはる方、
職場、ボンつながりのお母さんたち。
みんなに心配してもらいました、助けてもらいました。
大事なものがはっきり見えました。
あきらめじゃなく、悲しい気持ちじゃなく、自分の力量とスタイルがわかりました。
これからどうしていきたいのかも少し感じられました。
大収穫です。
でももう二度とこんな経験はいやなので!過信しないで
ボイトレも定期的に見てもらい自分の仕事にも役に立てていこうと思います。
あとはボーカルという楽器のメンテナンスですね。
神経質にやるのはカッコ悪い!とぐらいに考えていました。
でもわたしたちの声帯は、とりかえのきかない、お金では買えない貴重な楽器です。
歳を重ねたら、それは不調も出てくるでしょう。
その時慌ててどうのではなく、普段から大切に、慈しんで、使って、手入れしてあげることが
楽器に対する愛着、愛情であると同時に長持ちさせる秘訣かなと思い直しました。

また思い出したことがあったら書き足していきます。
どこかのシンガーやボーカリストさんが、わたしの小さなアクシデント、
この小さな記事によって少しでも救われることを願って!

追記:2012年春
声帯結節&ポリープの手術から今日でちょうど2年がたちました。
すっかり元気な声帯ちゃんです!
あの経験のおかげで歌える喜びをさらに知ることができたし、
自分の仕事の仕方とか、声の出し方とか、落ち込んだり責めたりもしたけど、
これはきっと意味のあること、一回よく考えてみーっていう神さまのメッセージ?
なんて受け止めての今があります。

ですがちょっぴり反省。
「調子が良い」ことに調子にのって、先月の本番終わりから楽しい飲みの機会が多く、
たくさんお酒を飲んでしまってそうなるとわたし、おしゃべりが止まらないもので。
飲んでワイワイしゃべりすぎることは自分に禁じてたはずですが、
次の本番まで1か月以上と思うと気もゆるんでたんですね。
すこ〜し音もれを感じたので、来週の土曜日本番に向けただいま禁酒中です。
あと、今年は花粉の時期がずれていたり、黄砂も重なってたりするのかなあ?
鼻の調子が悪いです。
ずっと鼻腔がくっついている感じ。
これは声帯に思わぬ負担をかけてしまいます。
同じく咳も負担をかけますがこちらは喘息持ちですが、この2年間調子バッチリです。
鼻の方は歌う前に点鼻薬をしたりして対処しています。
けど根本的になんとかしたいな〜って思っています。

あとは本当は運動が大切なんですが、時間的事情などで
11月ぐらいからカポエイラに行けなくなって今ほとんど身体動かせていません。
その分なるべく歩くようにはしています。
あとお酢を飲んで身体をあたためて、首が冷えないようにストールをして、
と気にかけられるところはかけています。
昔は神経質にやるのはイヤやな〜なんて思っていましたが、
声がでなくてつらい思いをしたり、迷惑をかけるのはもう絶対にイヤだから!!
本番当日はカフェイン、ミルク系、柑橘系も飲みません。
喉にからみつく感じがするので、そのかわりお水はがぶがぶ飲みます。
常温のお水です。

そんな2年です。
前にも書いたことですが、自分が結節、無理をして結節の反対側がポリープ、声が不安定で
今出ても次の曲ではどういうポジションになるか検討がつかないような不安になって、
ボーカリストやシンガーの方のそういう記録はないかとブログを読みあさりました。
なかなかないし、あってもその後のことがわからなかったりしました。
なので、こんなしがない歌い手ですが、自分の経験が、
今苦しんでいるボーカリスト、シンガーの皆さんに少しでもお役に立てたらなって思います。
時々悩んでいるボーカリスト、シンガーさんたちからメールをいただきます。
わたしの場合は〜というお話しかできませんが、それでもよければぜひ!
また3年、4年、追記していきたいと思っています。
2012.春



追記 2019.2.12
さて。
レポートによると、わたしのブログを見に来てくださる方のほとんどが、この記事へと飛んでくださってるそうです。
それだけ、歌う人にとって、声帯のトラブルは心配で仕方のない問題なんですよね。
この記事、久しぶりに自分で見返してみて、けっこう細かく書いているなあと思います。
だけど、もしかして、さらに数年たった今の声帯の状態も気になられているかもしれない。。そう思い、
今の自分の状態を書いてみようと思います。
今日は2019.2.12なので、術後8年半たったということです!

わたしの声は今もとても元気です。
なんといっても加齢もありますので笑、そこを考えても考えなくても、やはり元気だと思います。
手術をする前に、調子が悪くなるたびにかかっていた専門医に、
「手術はしてもかまわないけれど、あなた自身が変わらなければ繰り返しますよ」と言われたことを今でもよく覚えています。
専門医には、手術を勧めてくださったこと自体にも、このアドバイス自体にも深く感謝しています。
発声時には以前よりもっと、声の向き、響くポイントへの角度や当たり具合、雑音の有無などに注意を払っています。
調子の悪い時にはあまり練習をしない、という選択も恐れずすることもあります。
このあたりの変化は自分にとって、大きな収穫でした。
そんな訳で今、わたしの声はとても元気です。
2019.2月





by akiakisezuni5 | 2010-06-09 14:50 | 声帯結節とポリープ

JazzやPopsが好きで曲を書いて歌います。Webサイトはhttps://akikosegawa.amebaownd.com


by akiakisezuni5